内装塗料にはどんな種類がある?DIYでおすすめの塗料は?
公開日 2025年3月16日 最終更新日 2025年3月17日

「内装のイメージを変えたい!」「DIYでも内壁塗装はできる?」
春に向けて、お部屋のイメージを変えたい、内装を綺麗にしたいという方は多いと思います。
内壁塗装の一般的なタイミングは、色褪せや汚れ、黒ずみが目立ってきたときです。
内壁塗装の寿命は約10年なので、お部屋の美観を損ねないためにも、それより前に塗り替えをおこなうのが良いでしょう。
見栄えの問題が生じていなくても、塗料を変えて塗装すれば、見違えるほどおしゃれなお部屋に変身させることができますよ!
今回は、内装塗料にはどんな種類があるのか、DIYでおすすめの塗料もあわせてご紹介していきます。
内装塗料の基本は2種類に分けられる
内装塗料と呼ばれるものにはいくつかの種類がありますが、それらを大まかに分けると「油性塗料」と「水性塗料」の2種類になります。
【油性塗料とは?】
油性塗料とは、合成樹脂ではなく乾性油や不乾性油を用いた塗料のことです。一般的には、溶剤系塗料の総称を指すため、この記事でも油性塗料=溶剤系塗料と定義します。
溶剤成分には揮発性有機化合物(VOC)が含まれており臭いが強いのが特徴です。油性塗料は耐久性に優れた塗膜を形成することが可能です。密着性に優れている、艶が出るなどのメリットもあります。
その反面、塗装の際にシンナー特有の強い臭いが発生する、引火性があるなどのデメリットがあります。乾燥後も長期間にわたり臭いを発することから、内装には不向きです。
【水性塗料とは?】
水性塗料とは、水で希釈するタイプの塗料のことです。
油性塗料に比べてVOC排出量が少ないため、環境にやさしく、健康被害が少ないことが大きなメリットとなります。それ以外にも、家庭での保管がしやすい、引火の心配がないなどのメリットがあります。
デメリットを挙げるとするなら、乾燥時間の長さです。
強化剤が含まれる油性塗料に比べると乾燥時間が長く、半硬化乾燥に3〜4週間、完全乾燥に2週間程度かかることもあります。
その分、塗装中から乾燥中、その後の臭いが少ないため、内装・DIYに向いている塗料です。
内装塗料を選ぶときに考慮したいVOCについて
油性塗料に多く含まれるVOCについてもう少しご説明します。
VOCは「Volatile organic compounds」の略で、蒸発しやすく大気中で気体になる性質をもっており、浮遊粒子状物質(SPM)や光化学スモッグなど大気汚染の原因物質です。
経済産業省によると、2022年の塗料からのVOC排出量は20.8万トンとのこと。2000年に比べて61.1%減となり、目に見えてVOC削減が進んでいることが分かっています。
要因の一つに、外装や内装などに用いる塗料を、油性から水性に切り替える取り組みが挙げられます。住宅の塗装はもちろん、首都高速道路の塗り替えなど公共設備においても、水性塗料が用いられるようになってきました。
そうはいっても、塗料が占めるVOC排出量の割合は37.4%あります。塗料を選ぶ際は、水性塗料を選択するようにして、VOC排出量削減に貢献したいものですね。
内装塗料は主に8種類!それぞれの特徴とメリット・デメリットを解説
内装塗料は油性と水性の2つに大分されますが、さらに細かく分類できます。家庭やオフィスで主に使用されている塗料は8種類。ここでは、それぞれの塗料の特徴や耐用年数、メリット・デメリットを解説していきます。
【アクリル塗料】
アクリル塗料とは、アクリル樹脂を主成分とする塗料のことです。アクリル樹脂はプラスチック製品やコップ、パソコン画面など身近なものに用いられており、価格が安価な素材です。
透湿性が高く湿気がこもりにくい、発色がよくカラーバリエーションが豊富といったメリットがあります。
アクリル塗料の寿命は5〜8年程度と短く、短期間で塗り替えが必要な点がデメリットです。
【ウレタン塗料】
ウレタン塗料とは、ウレタン樹脂を主成分とする塗料のことです。下地の種類を問わず施工できるため、外壁や木部内装、屋根、家具などさまざまな箇所に用いられています。
柔軟性や弾性に優れており、塗膜がひび割れしにくいのがメリットです。
密着性があるため、塗り重ねることで防水層を形成できます。ベランダや屋上の防水工事にも用いられることが多いです。
ウレタン塗料の寿命は8〜10年と長く、塗り替え頻度も少なくて済みます。
一方で、紫外線や湿気に弱く、変色しやすいデメリットがあります。
【シリコン塗料】
シリコン塗料とは、シリコンやアクリルシリコンなどの合成樹脂を主成分とする塗料のことです。屋外環境において、耐候性や防汚性に優れているため、外壁塗装や屋根塗装に多く使用されています。
紫外線の影響を受けにくく、チョーキング現象が起きにくいのもメリットです。
シリコン塗料の寿命は10〜15年程度と、アクリル塗料やウレタン塗料に比べて長寿命なのも利点です。
その反面、柔軟性が低いため、地震などの振動でひび割れしやすいデメリットがあります。
また、塗料を弾く性質を持つので、再塗装が難しいのも欠点です。
【フッ素塗料】
フッ素塗料とは、フッ素樹脂系の合成樹脂を主成分とする塗料のことです。耐久性・耐候性
ともに高いため、住宅塗装以外に航空機の塗装にも用いられています。
フッ素塗料の耐用年数は、15〜20年程度。シリコン塗料よりさらに寿命が長いのが特長です。
デメリットとしては、塗料の中でも費用が高いことが挙げられます。艶消し塗装ができないこともあり、内装塗料に用いられることは少ないです。
アクリル塗料、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料、それぞれが水性と油性の2種類に分けられます。水性と油性以外にも、1液型(主成分のみの塗料)や2液型(主成分と硬化剤が混在する塗料)などの種類があります。 |
珪藻土塗料
珪藻土塗料とは、珪藻土を配合した内装用塗料です。珪藻土は細孔が多く空いている多孔質材料の一種で、調湿性をもつため、結露防止やカビ抑制の効果が期待できます。
室内のいやな臭いを吸着する消臭機能・菌の増殖を抑える抗菌機能があるので、赤ちゃんやお年寄りのいるご家庭でも使用できる塗料です。
ほとんどの製品が低VOC、もしくはVOCゼロを実現しているため、環境や人体に安全といえます。安全性が高いため、珪藻土塗料はDIYでおすすめの塗料のひとつです。
耐用年数は10〜15年程度。経年劣化や衝撃などでひび割れたり、ボロボロと剥がれ落ちたりするのが欠点です。
【オイルステイン】
オイルステインとは、木材に染み込ませることで着色する油性塗料のことです。通常、塗料を塗ると木目が隠れてしまいますが、オイルステインなら木目の質感を残すことができます。木材特有の温かみのある仕上がりにしたいときに適している塗料です。
木材用のステインには、油性のオイルステインのほか、水性の水性ステインと呼ばれるものがあります。水性ステインは低VOCで臭いも少ないため、内装に適しており、DIYにもおすすめです。しかし、油性のオイルステインにはシンナーなどの溶剤が含まれているため、塗装中や塗装後に臭いが発生するため内装には向きません。
オイルステインの耐用年数は3年程度ですので、寿命のタイミングで塗り替えが必要です。
【黒板塗料】
黒板塗料とは、別名「チョークボードペイント」と呼ばれており、塗装したところが黒板として使用できる塗料のことです。文字通り、塗装後はチョークで文字やイラストが書けるようになります。
書いた文字は市販の黒板消しや布で拭き消すことが可能なので、落書きや家族へのメッセージ、本格的な黒板アートなど、さまざまな用途に使用できます。小さいお子さんや学生の方がいるご家庭で人気が高まっている内装です。
塩化ビニールクロスや石膏ボード、モルタル、コンクリート、木材など幅広い素材に対応しているため、室内壁はもちろん、屋外や家具の塗装にも使用できます。
◆黒板塗料も水性がおすすめ
黒板塗料にも油性と水性の2種類があります。
油性の黒板塗料は速乾性や耐久性に優れていますが、VOCが多く含まれており、きつい臭いが気になる場合があります。また、有害物質が含まれているため、お子さんや化学物質過敏症の方がいるご家庭での使用にはおすすめできません
水性の黒板塗料は、多くの製品が低VOCもしくはゼロVOCを実現しているため、環境や人体への影響が少ないです。
油性塗料のようにきつい臭いがないため、塗装中はもちろん、塗装後も快適に過ごせるメリットがあります。そのため、内装塗料として、住宅や教育機関などで多く用いられています。
デメリットを挙げるとすれば、油性の黒板塗料に比べて耐久性が低いことです。文字やイラストを書き換える頻度が高い場合や、書いたものを長期間残したい場合には向かないことがあります。頻繁に使用する場合は、半年〜1年程度で再塗装が必要になります。
ゼロVOCかつほかの有害物質が一切含まれない塗料をお探しの方は、オーガニック塗料を選びましょう!DIYでの塗装には、オーガニックのチョークボードペイントがおすすめです。
マグネットペイント
マグネットペイントとは、金属の粒子を含む水性塗料のことです。塗装面に磁石をくっつけられるようになるため、学校でもらったプリントやポスター、地図、絵などを貼り付けるのに役立ちます。
マグネットペイントのみだと強度が弱いため、あくまで下地用塗料に用いられることが大半です。たとえば、下地にマグネットペイントを塗り、その上から黒板塗料を塗れば、マグネットの付く黒板になります。
マグネットペイントの耐用年数は、上塗りする塗料の耐用年数によるため、一概にはいえません。VOCや化学物質過敏症への対策には、上塗り塗料に低VOC・ゼロVOCの水性塗料、もしくはオーガニック塗料を選ぶのがおすすめです。
まとめ|内装塗料におすすめなのは水性塗料やオーガニック塗料です
今回は、内装塗料の種類や、DIYでおすすめの塗料をご紹介しました。
内装塗料を大きく分けると、油性塗料と水性塗料の2種類になります。どちらにもメリット・デメリットはありますが、内装やDIYで使用するなら水性の方をおすすめします。
油性塗料は耐久性に優れている反面、臭いがきつく、有害物質であるVOCを多く含むため、室内の塗装には向いていません。一方、水性塗料は耐久性の面で油性塗料に劣るものの、いやな臭いがなく、低VOCやゼロVOCの塗料が多く安心です。
今回は8種類の塗料をご紹介しましたが、「内装には完全無害な塗料を使いたい!」という方は、ぜひオーガニック塗料を検討してみてください。
この記事を参考にして、お気に入りの塗料を見つけて、DIYを楽しんでくださいね!

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。
インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。
化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!