シックハウス症候群と化学物質過敏症
公開日 2021年5月12日 最終更新日 2022年9月30日
一般的な工務店などの安全対策は化学物質に敏感な方にも有効なのでしょうか?
シックハウスは量の問題
家の建材や家具からの有害物質が原因で起こる体調不良をシックハウスと言います。症状はさまざまで気分が悪くなったり、頭痛、吐き気、だるさが続くなど本当に人それぞれですが自律神経の乱れが起こっていると言われています。また個人差も大きく同じ空間にいても平気な人もいて、家族間でも大きな差があり原因の特定に時間がかかることもあるようです。
シックハウスの場合は家に居る時に症状が出ます。外にいたり別の建物にいる場合は体調が改善します。家(室内環境)に原因があるからです。
現在は建築基準法でシックハウス対策が義務付けられています。
クロルピリホスの使用禁止
ホルムアルデヒドの使用量の制限
換気設備の義務付け
これは有害物質の量をコントロールするための措置です。
室内でクロルピリポスが無いように、ホルムアルデヒドの量が過剰にならないように規制があります。
ホルムアルデヒドは有害物質として規制されている物質ですが、
天然の無垢材にも含まれている物質です。杉やひのきのタンスで着物をしまっていると防虫効果があるのはホルムアルデヒドのおかげです。
少量であれば私たちの暮らしを助けてくれるものでもあるのです。
有害物質の量をコントロールして、健康被害が起きないように出来るのがシックハウスと言えます。
化学物質過敏症は有害物質の量で改善しにくい
それに対して化学物質過敏症の場合は量のコントロールで必ずしも体調が改善しません。過敏症と言われる状態は体内の許容量を超えてしまっているため微量でも反応してしまいアレルギー症状をおこします。この症状も個人差が大きく症状が様々で決まったものでは無いため家族からも気持ちの問題だ、などと言われて苦しむ方が多いのです。
この過敏症の方は家だけでなく、他人の使っている柔軟剤やご近所のシロアリ駆除、ホームセンターやドラッグストアなど様々な場所で体調不良が起こります。
化学物質過敏症の症状の方が自分は敏感だな、リフォーム時や引っ越し時に気をつけたほうがいいな、と思って工務店の方や業者さんにお話をされても、理解されないことも多いようです。
上記のシックハウス対策で有害物質の量は安全基準をクリアしている、と理解しているからです。敏感な方は残念ながらシックハウス対策では不十分です。
この点を業者さんに理解してもらうのが大事です。
事前に敏感なので安全性の高いものを使うようにお願いしておいたけど、
業者さんの使った建材はフォースター(シックハウスの安全基準をクリアしている)だった。つまり過敏症症状には安全ではなかった、となります。
そして法律で定められた基準をクリアしているので裁判に持ち込んでも勝てなかったとも聞きます。
私たちはシックハウス診断士です
過敏症は発症しないよう予防が大事です。
これはシックハウス対策とも共通点が多くあります。
おうちの有害物質を減らす工夫をするお手伝をしますので、どうぞご相談ください。
過敏症予防は大きく分けて2つの分野でできます。
1つ目は家の有害物質を減らして快適で健康的な住宅を作ること。
特に滞在時間の長い寝室や居間に注意してください。換気をすることや有害物質の多い家具やラグを持ち込まないようにしましょう。
2つ目は日常生活で注意。
身近なものでは香料の入ったものを避けることでできます。特に衣類に使う洗剤や柔軟剤には気をつけましょう。衣類は広範囲で肌に触れるので経皮吸収されやすいことと、体温で温められると化学物質の揮発が促され呼吸時に体内へ取り入れられてしまい、体内蓄積しやすいのです。
匂いがきついなぁと思うものは洗剤や家具など何にしろ、注意してください。