低VOC塗料とゼロVOC塗料の違いを解説!
公開日 2022年4月7日 最終更新日 2024年6月28日
塗料(ペンキ、ペイント)は私たちの生活の中いろいろな場所で使用され、実はありとあらゆる表面が塗装されています。塗料は家の外壁や室内の壁、車、建築物などの保護や美装、もしくは独自の機能(黒板塗料など)がある材料としてたくさんこれまでも使用されてきました。日常的に使用されているため塗料は安全なものだろうと思われがちですが、実は成分を確認すると安全性にはそれぞれ差があります。また塗料には油性か水性か、また水性でも低VOCかゼロVOC(VOCフリー)かどうかなどの違いもあります。低臭、無臭、速乾などと書かれている場合もあるかもしれません。
このコラムでは特に注意を払っていただきたい水性塗料の低VOCとゼロVOCの違いについてまとめました。リノベーションやプロジェクトの際にできるだけ安全で健康に被害のない塗料を選択することをおすすめします。
そもそもVOCとは?
VOCとは揮発性有機化合物Volatile Organic Compoundsの頭文字をとった略語です。揮発性有機化合物は揮発すると言う言葉通り、大気中で蒸発して気体になるになる有機化学物質の総略です。例えばトルエン、キシレン、酢酸エチルといった物質がそうです。光化学スモッグの原因となる大気汚染物質の光化学オキシダントの原因物質の一つもVOCです。工場や家庭、自動車などから大気中に排出され光化学スモッグとなったり、PM2.5(超小粒状物質)などの大気汚染の原因にもなっています。高濃度の光化学オキシダントが発生すると人体に影響があるため学校などでは屋外活動が制限される場合もあります。
暮らしの中においては、代表的なものとしてエアゾール製品などのスプレー、油性塗料、接着剤には特に多くのVOCが含まれています。油性塗料、と書きましたが、最近はVOCの規制のおかげでVOCの少ない水性塗料の種類も増えてきました。しかし、水性塗料にもVOCは含まれています。
厚生労働省では室内空気汚染の原因物質とされるVOCの中でも健康リスクが高い13の物質に関してガイドラインを設けています。なぜ法整備してまで規制が必要かと言うとシックハウス症候群や大気汚染などの原因となることが分かったからです。
簡単にわかりやすく言うと、塗料を塗って乾く時にVOCが空気中に残り、そのVOC入りの空気を吸って体内に入れることで健康被害のリスク、またそのVOCを大気に出すと大気汚染のもとになるのです。大気汚染もご存知の通り健康被害の原因の一つです。
と言うことは、普段の生活においてできるだけVOCを使わない製品を使うことで健康被害のリスクや大気汚染の原因を減らすことができます。
従来の水性塗料に有害物質は入っている
ペイントを舐めたり飲み込むことは危険、と理解している方は多いと思います。では口に入れなければ安全かというと必ずしもそうとは限りません。塗料の成分は主に4つに分けられます。 色を形つくる顔料、塗膜になる樹脂、性能を固める添加剤、樹脂を希釈する溶剤です。溶剤は乾く時に空気中に蒸発するため塗膜には残りません。実際に舐めたり食べたりしていなくても塗った塗料が揮発し、それが空気中に舞い、その空気中に有害物質が含まれていれば、呼吸する度にその有害物質を吸い込んでいる可能性が高くなります。無意識に口に入れていることつまり体に取り入れていることになるのです。従来の一般的なペイントにはVOC=揮発性有機化合物(Volatile Organic Compounds)が入っており、揮発する気体は有害なのです。含まれる化学物質の中には発がん性物質や発達神経毒性も含まれる物質もあります。シックハウス症候群の原因の一つとしてVOCが指摘されています。シックハウス症候群とは新築やリフォーム後の家に入居後、頭痛やめまい、吐き気などの症状が出て体調がおかしくなる病気です。シックハウス 症候群は住宅室内の空気質に関する問題が原因として発生すると言われ、何らかの理由で室内の空気が汚染された結果、その空気を吸い込むために起こる症状と言われています。近年の住宅の機密性が良くなった事で換気が不十分になったり、住宅建材に新素材などが使われるようになったために起きた環境病です。
低VOC塗料とは何か
大抵の塗料には有害物質が入っていると書きましたが、ここ20年の間くらいにはVOCが大気汚染の原因の一つでもあるということに注目され、改正大気汚染防止法により日本塗料工業会が塗料に関しても低VOC自主表示をガイドラインにしました。
以下のVOC物質は厚生労働省による濃度指針値が定められ規制対象となっています。
- ホルムアルデヒド
- アセトアルデヒド
- トルエン
- キシレン
- エチルベンゼン
- スチレン
- パラジクロロベンゼン
- クロルピリホス
- テトラデカン
- フタル酸ジ-n-ブチル
- フタル酸ジ-2-エチルヘキシル
- ダイアジノン
- フェノブカルブ
- 2-エチル-1-ヘキサノール
- テキサノール
- 2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジイソブチレート (TXIB)
低VOC塗料とは塗料中に含有するこれらのVOCである有機溶剤が少ない塗料のことです。塗装した後のペイントの匂いは乾いて時間が経つにつれだんだんと無くなっていきます。しかし匂いがしなくなったから有害物質がもう出ていないというわけではありません。塗料に含まれるVOCは新しく塗った壁からだけ揮発しているわけではなく、3~5年かけて揮発し続けるのです。でもいくら”低量”でもVOCが入っていることには変わりません。有害物質に敏感な人やアレルギーのある方は少しでも有害物質に暴露すると頭痛や咳、目が痛くなるなるなど体調が悪くなることがあります。
ゼロVOC塗料とは何か
ゼロVOC塗料と表示のあるペイントはペイント成分の中にVOCが全く入っていない、もしくは超定量(1Lに5gまでの場合が多い)の塗料のことです。VOCフリーと記載されている場合もあります。注意して欲しいのはゼロVOCと表示されていても、有害物質が全く入っていないというわけではないと言うことです。なぜならVOCとしてみなされない物質が入っていたり(例えばアンモニアやアセトンは有害物質ですがVOCとして分類されていません)、ベースとなる塗料にはVOCが含まれていないが後に添加される顔料に含まれている場合があるのです。そのような場合、ゼロVOCと表示されている可能性があります。そのため塗料を選ぶ際に大事なのは、ゼロVOC塗料というだけでなく、本当に何も有害となる物質が入っていないものなのか確かめることです。室内で塗装する時、化学物質に過敏な人や小さなこどもがいる場合などは是切るだけゼロVOCの塗料が推奨されます。健康に被害があり得るものはできるだけ使いたくないですよね。
どのようなペイントを選べばいいのか?
たくさんある種類の中からどのようにして塗料を選べばいいでしょうか?オンラインでのネットショップ、ホームセンターなどで塗料を選ぶ際の注意点です。
1、水性塗料:まず、必ず水性塗料を選びましょう。水性塗料は有機溶剤(シンナー)を使わず、水を混ぜて作っている塗料のためVOCが入っている量が少量もしくはゼロです。
2、有害物質の入っていないゼロVOCの塗料:水性塗料でも溶剤以外の成分で有害物質となる成分が混ざっている場合があります。低VOCと呼ばれるタイプです。小さなお子様や妊婦さんがいる場合は低VOC塗料よりゼロVOCの塗料がおすすめです。
3、オーガニック塗料:化学物質に過敏な方はオーガニック塗料がおすすめです。抗菌剤、抗菌薬、防カビ剤も入っていないタイプがオーガニック塗料です。
エコスオーガニックペイントはもともと化学物質過敏症だった創立者が誰でも使えるような塗料を開発したペイントです。誰でも安全に使え、アレルギーの方や化学物質過敏症の方でもお使いいただける塗料です。お子さんでも妊婦の方にとっても安心安全な塗料です。動物性成分不使用、動物実験はしない、ヴィーガンです。抗菌薬、抗菌剤も不使用で完全に無害。VOCとなる有害物質は一切含まれていません。塗料の全成分を開示しておりますので安心してお使いいただけます。サンプルもありますので化学物質過敏症などで心配の方はまず試してみることをお勧めします。
エコスオーガニックペイントのラインナップは上塗り用の黒板塗料や空気清浄塗料、下地となるプライマーなどあり、それぞれゼロVOCの無害塗料のため安心して使える塗料です。