ペンキが原因のアレルギー症状とは?発生源を知って対策しよう!

公開日 2025年4月22日 最終更新日 2025年4月22日

「ペンキ塗りたての空間にいたら気分が悪くなった」…そんな経験をしたことがある人は多いのではないでしょうか。

 

ペンキ(塗料)が原因のアレルギー症状として、皮膚のかゆみやめまい、頭痛、咳、目のかゆみ、喘息、鼻水、吐き気などさまざまなものが挙げられます。

一部のペンキはシックハウス症候群の原因にもなるため、重症化すると喘息が悪化する・胃腸障害を起こす・意識混濁になるといったケースもあり、軽視できません。

そこで今回は、ペンキが原因のアレルギー症状・健康障害について、発生源から対策法をご紹介していきます。シックハウス症候群についても併せて解説しますので、アレルギーで悩んでいる方の参考になれば幸いです。

ペンキが原因の健康障害には3種類ある

ペンキが原因の健康障害には「アレルギー疾患」「化学物質過敏症」「シックハウス症候群」の3種類があります。3つには共通する症状がみられますが、発生源やメカニズムが異なるため、違いを知っておきましょう。

アレルギー疾患とは?

アレルギー疾患は、特定のアレルゲンに対する過剰な免疫反応が原因で起こるものです。

ペンキが原因のアレルギー疾患もありますが、代表的なものに花粉症(アレルギー性鼻炎)やアトピー性皮膚炎なども挙げられます。

主な発生源は花粉、ハウスダスト(埃・ダニ)、食品、薬剤などです。症状は、くしゃみや目のかゆみ、発疹、皮膚炎、呼吸困難などがあります。遺伝的な要因と環境的な要因が関与して発症するといわれています。

化学物質過敏症とは?

化学物質過敏症は、特定の物質が原因で精神・身体的な症状が起こる疾患です。

いったん発症すると少量でも症状が起こる点がアレルギー疾患と似ています。アレルギー疾患との違いとして、自律神経系に作用して発症すること、免疫系や内分泌系も関係していることが挙げられます。主な発生源は人工香料、ペンキ(塗料)、日用品、農薬、煙草、排気ガスなどです。アレルギー疾患と同様の症状が出るほか、頭痛や倦怠感、不眠、めまい、気道障害などが生じ、日常生活に支障をきたす場合もあります。

シックハウス症候群とは?

テレビのニュース番組や新聞などで見聞きしたことがある人は多いと思います。言葉は知っていても、具体的な症状や発生源などはよくわからない、という人は多いのではないでしょうか。

シックハウス症候群とは、主に住宅の新築やリフォーム後に発生する体調不良のことです。

新築やリフォーム以外にも、住居内の空気汚染が原因で発生することがあるため、どんな人にもかかるリスクはあります。

症状はアレルギー疾患のようなものから、喘息・胃腸障害・意識混濁のような重篤なものまであり、個人差が大きいのも特徴です。

発生源の一例に、建材や家具、日用品、塗料から放出される化学物質が挙げられます。

ペンキが原因のアレルギーともいわれており、集団でかかるケースがあるため、学校施設でも問題視されています。

シックハウス症候群とシックビルディング症候群

シックハウス症候群は住宅以外にオフィスビルでも発生する場合があります。

そのため、WHO(世界保健機関)では「シックビルディング症候群」や「ビル・ホーム症候群」などの表現がされています。

WHOが提唱するシックビルディング症候群の診断基準は次の通りです。

①目、鼻、喉の刺激症状、粘膜の乾燥感

②皮膚の紅斑、かゆみ、じんましん

③疲れやすさ、精神的疲労、集中力の低下

④頭痛、めまい、吐き気

⑤嗅覚、味覚の異常

⑥過敏性の反応(分泌亢進)

⑦呼吸困難、喘鳴

このほか、建物内の複数の人が症状を訴える、建物から離れると症状が楽になる、といったこともシックビルディング症候群の特徴です。

シックハウス症候群とシックビルディング症候群では、発症場所の違いから、有症率の高い層が異なります。

シックビルディング症候群はオフィスで仕事をする20〜60歳に多く発生しますが、シックハウス症候群はあらゆる年代に生じ、特に20歳未満に多く発生するといわれています。赤ちゃんや小さいお子さんがいる家庭では、リスクが高いともいえますね。

ペンキが原因のアレルギー症状として、シックハウス症候群・シックビルディング症候群についての理解を深めておく必要があるでしょう。

シックハウス症候群の発生源とペンキに含まれる化学物質

シックハウス症候群の発生源として、主に7ヶ所が挙げられます。

①家屋

家具・建材・塗料・接着剤に含まれる化学物質、揮発性有機化合物(VOC)など

②生活用品

洗浄剤や化粧品に含まれる香料、防腐剤、可塑剤など

③家電製品

化学物質、VOC、可塑剤、難燃剤

④繊維製品

化学物質、VOC、難燃剤

⑤燃焼機器、煙草

化学物質、VOC

⑥真菌、微生物

微生物由来揮発性有機化合物

⑦床下

シロアリ駆除剤に含まれる化学物質

化学物質の中でも、建材やペンキなどから室内に放散する「揮発性有機化合物(VOC)」はシックハウス症候群の大きな要因です。

ペンキに含まれるVOC

ペンキには、ホルムアルデヒド、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ドデカン、トリデカン、エチルトルエン、トリメチルベンゼン、1,2,4,5-テトラメチルベンゼン、4-メチル-2-ペンタノン、2-プロパノールなど、多数のVOCが含まれています。

上記のVOCは、油性ペンキに多く含まれています。

室内のVOC濃度を下げるには、水性ペンキの使用や換気条件を良好にすることが推奨されています。

ただし、すべての水性ペンキが無害というわけではないので注意が必要です。

水性ペンキの中にも、テキサノールや1-メチル-2-ピロリドンなど人体に影響のある物質が含まれている製品があります。アレルギーやシックハウス症候群対策には、これらの物質を含まない水性ペンキを選ぶことが大切です。

ペンキによるアレルギー症状の対策方法

ペンキに含まれる化学物質やVOCは、化学物質過敏症やシックハウス症候群の原因になるため、問題視されています。ここでは、一般家庭やオフィスでできる、ペンキによるアレルギー症状の対策方法をご紹介します。

ホルムアルデヒドなどのVOC濃度を測定する

まずは、自宅やオフィスの室内にどれくらいのVOCが存在するのか、調べてみましょう。

室内のVOC濃度を測定する方法には、アクティブ法・パッシブ法・簡易法の3パターンがあります。

①アクティブ法

厚生労働省の標準的な測定方法で、室内の最高濃度を計測できる。専門資格を持った測定士が吸引ポンプを用いて実施する。

②パッシブ法

小型の捕集管を室内に吊るして測定する方法で、室内の平均的な濃度を測定できる。

③簡易法

専用の検知管、もしくは市販のVOC測定器やホルムアルデヒド測定器を使用して測定する。現状を大まかに把握するのに有効。

オフィスビルや学校施設など、正確な数値を知る必要がある場合はアクティブ法がベターです。一般家庭であれば、まずは簡易法から実施してみましょう。

厚生労働省は、13種類の化学物質に関する室内濃度指針値を定めています。

ペンキに多く含まれる化学物質の指針値は以下の通りです。

・ホルムアルデヒド 0.08ppm

・トルエン 0.07ppm

・キシレン 0.20ppm

・エチルベンゼン 0.88ppm

・フタル酸ジ-n-ブチル 0.02ppm

こまめに換気する

ペンキのアレルギー症状を予防するには、こまめな換気も大切です。

室内のVOC濃度が高まれば高まるほど、人体への影響が大きくなるため、気密性の高い住宅ほどリスクが高いといわれています。

数分窓を開けるだけでも、室内の空気を入れ替えることができますが、新築後やリフォーム後は、「ベイクアウト」と呼ばれる方法が推奨されています。

ベイクアウトとは、室内の温度を30℃以上に上げてから換気を行い、何度か繰り返す換気方法です。VOCは温度の上昇に伴い放散される性質があるので、あえて室温を上げて排出させるわけですね。

低VOC・ゼロVOC・化学物質ゼロのペンキを使う

アレルギー症状の原因となるVOCや化学物質は、ペンキから多く放散されていることが分かっています。

そのため、化学物質過敏症やシックハウス症候群の予防には、低VOC(VOCの含有量が少ない)・ゼロVOC(VOCを含まない)・有害物質ゼロ(VOC含む有害物質を含まない)のペンキを使用するのが大変有効です。

人体や環境に与える影響は、低VOC>ゼロVOC>有害物質ゼロの順に大きくなります。

低VOCはあくまで含有量が少ないペンキなので、VOC自体は微量でも含まれます。

ゼロVOCは、VOCはゼロであっても、そのほかの化学物質が含まれる可能性があるため、アレルギー症状の原因になりえます。

それに対し、有害物質ゼロのペンキは、VOCもそのほかの有害物質も一切含まないため、人体や環境へのリスクがありません。

エコスオーガニックペイントは、シックハウスに悩んだ化学者が開発した、有害物質ゼロのペンキです。

黒板塗料の「オーガニックチョークボードペイント」、VOCを吸着ろ過する塗料「オーガニックエアピュアペイント」。どちらもキッズデザイン賞を受賞しています。食べても無害なペンキなので、赤ちゃんやペットのいるご家庭でも安心して使用できます。

住宅はもちろん、オフィスや学校施設、公共施設などにもおすすめです!

まとめ|ペンキが原因のアレルギー症状はオーガニックペイントで解決しましょう

今回は、ペンキが原因のアレルギー症状・健康障害について解説しました。

ペンキが原因の健康障害として、アレルギー疾患や化学物質過敏症、シックハウス症候群が挙げられます。

3つの症状は発生源やメカニズムが違えども、原因を取り除くことが共通の有効対策です。

化学物質過敏症やシックハウス症候群の原因となる化学物質やVOCは、油性ペンキに多く含まれています。水性ペンキやオーガニックペイントが普及すれば、ペンキが原因のアレルギー症状で悩む人が大幅に減るのではないかと思います。

これから家の塗装をする方、リフォームでペンキの再塗装を行う方は、この機会にオーガニックペイントを検討してみてはいかがでしょうか。

担当ライター

WEBライター 原野 光佳(はらの るか)
WEBライターとして、さまざまなジャンルの記事を執筆しています。
インテリアデザインやおしゃれな家具・雑貨、色の持つ効果などに関して勉強中です。
化粧品や食品などもオーガニックを好んでおり、ユーザー目線でオーガニックペイントの魅力を伝えていきます!

グリーンエレファント

2009年設立。2012年よりエコスオーガニックペイントを輸入販売しています。シックハウス診断士、化学物質過敏症サポーターの資格を取得したスタッフが応対します。

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